見学のほか,自らも他のホテルチェーンの話 を聞くなどした末,平成13年6月1日,己に対し,自分でホテルを建 築し,運営するという方針であることを伝え,さらに,同月6日に名古 屋市内で開催された被告Aのセミナーを聴講した上で,同月13日,被 告Aと再度面談し,被告総研のビジネスホテル開業指導を受けて,原告 自らホテルを建築し,運営するという形でビジネスホテル事業を行う意 思などを伝えた。
(オ) 前記(エ)のFと被告A間の面談後,平成13年6月22日を第1回 として本件建築物の建築に関する定例会議が沢田工務店の会議室等で定 期的に開催されるようになり,Fも詳しい事情説明のないまま出席を求 められ,出席していた。
(カ) 前記(オ)の定例会議を何度か経る中で,Fは,Rから何度となく資 金調達の準備状況を聴かれ,金融機関の預金残高証明書を見せて準備が 整っていることを明らかにしたところ,Rはそろそろ正式契約を締結す る旨Fに伝え,平成13年10月14日,沢田工務店において,予め用 意されていた前記第2の2(2)アの3件の各契約の契約書類にFが順次 署名押印し,各契約の締結に至った。
被告総研との間の本件経営指導契約は,原告の役割として,本件土地 におけるビジネスホテル事業の達成のため,被告総研の経営指導の下で 事業化の努力をすること(第2項),被告総研の役割として,具体的に は,上記事業達成のために総合的経営指導を請け負うこと(第3項)と されており,被告総研の経営指導の内容は,以下の内容を含む包括契約 と定められている(甲5)。
? 企業化調査 ? 事業計画の策定 ? 金融機関に対する事業化の説明援助 ? ホテル仕様を基本とした設計・仕様の指導 ? ホテル仕様にあった工事施工の助言・指導 ? ホテルの什器・備品の調達に関する指導 ? ホテル経営のシステム全般に関する指導 ? ホテルの要員確保ならびに教育に関する指導 ? 客室の販売促進に関する援助指導 ? その他ビジネスホテルの事業化に必要な助言指導 沢田工務店との間の本件建築請負契約の請負代金額は,3億8350 万9000円(消費税別)であった(甲7。
なお,同代金額は,前記 (イ)のホテル事業概算計画書3通(甲28の1〜3)及び計画設計概算 書(甲29)に記載された請負代金額(3億9350万9000円)よ り1000万円少ないが,これは解体費用の工事区分を変更したためで, 実質的な請負代金額は変更されていない。
)。
平成設計との間の本件設計等契約の請負代金額は,1574万円(消 費税別)であり(甲6),前記(イ)の各文書に記載された請負代金額と 同額であった。
なお,Fとしては,そもそも設計業者の知り合いはいなかった上(原 告代表者29頁),被告Aと初めて会ってビジネスホテル事業の勧誘を 受けた当初から,平成設計は被告総研の設計部門という位置付けで理解 しており,上記各契約締結までの間に,被告総研との間で,設計・施工 監理業務についてどの設計業者に依頼するかについての話が全く出てお らず,被告総研より平成設計以外の設計業者に発注することが明示的に 禁じられたわけではなかったものの(被告A4頁),平成設計に設計・ 施工監理業務を行わせることがいわば当然の前提であると感じていたた め(原告代表者29頁,被告A4頁),他の設計業者に設計・施工監理 業務を行わせたいと申し出たことはなく(原告代表者29頁),また, そのようなことが可能かどうかを問うこともなかった。
カ被告総研の沢田工務店に対する指示及び指導 (ア) 仕様書等の交付 沢田工務店の丁及び部下の庚は,被告総研のQから,2階に平成設計 が事務所を構える総研iビル1階において,本件建築物の設計図書と共 に,ホテル建築仕様書(丙1)及びSGホテル説明書(丙2)を渡され た(甲58,11頁,丁13頁,14頁)。
前記のとおり,上記各文書の優先順位は,第1にホテル建築仕様書, 第2にSGホテル説明書,第3に設計図書の順とされている。
(イ) 本件建築物の建築に向けた定例会議での指導 本件建築物の建築に向けた定例会議は,前記オ(オ)のとおり平成13 年6月22日から定期的に開かれており,本件建築確認前は前同日,8 月某日,9月8日,同月19日,10月12日,同月14日,12月1 0日に実施され,本件建築確認後はおおむね2週間に1度の頻度で開催 されていた。
その出席者は,おおむね建築主として原告のF,総合監理 として被告総研のR及びQ,設計監理として平成設計のU,施工業者と して沢田工務店の丁,その他各回における課題事項に関係する下請業者 であった(甲71,72)。
上記定例会議の司会はおおむねUが務めた が,Rが発言することも多く,平成設計ないし沢田工務店の担当者に対 して指導する中で,時には大声を出すこともあった(Q7頁)。
上記定例会議においては,特に工程管理についてRが厳しく指導して おり,沢田工務店の丁がワンフロアを5日間で仕上げる工程を組んで資 料を作成した際,Rから「4日であがるコンサルを受けているんでし ょ。
」,「コンサルは誰なんだ。
」,「何故できないんだ。
」,「でき ない理由を言え。
」,「できないならできない理由を己からA所長に釈 明してもらいなさい。
」などと言われ続けた(甲58,12頁,13頁, 甲73,丁16頁,17頁,Q21頁)。
もっとも,本件建築物はワン フロア4日ではなく,5日で仕上げられた(丁21頁)。
なお,定例会議における工事旬報は前もって被告A,R,F,平成設 計に送付されており(甲73),被告Aも報告を受けていた。
(ウ) 定例会での指導 a Pによる沢田工務店に対する定例会においても本件建築物建築の指 導がされ,Pは,本件建築物の実行予算につき直接工事原価目標2億 9334万2000円,41万円/坪として被告総研には伝えていた が,定例会に係るメモには「丁次長目標原価」として,「2億861 8万8000円,40万円/坪」と赤マジックで書き込み及び囲みを し,坪当たり40万円とする旨を強調していた(甲25の?,丁9 頁)。
そして,Pは,型枠工事及び鉄筋工事についても具体的な工事原価 目標を「工事原価配布(案)」(甲25の?)として掲げ,実行予算 が40万円となるように指導を行った(甲58,6頁)。
b そのほか,Pは,杭工事のコンクリート及び鉄筋量を算出して,そ の予算組み(甲27の2枚目,9枚目,甲58,8頁)を指示したり, 階段取付工事に関し,コンクリート及び鉄筋量を算出するなどの積算 根拠を説明するなどした上で,現場PC(プレキャストコンクリート, 工場や現場構内で製造した鉄筋コンクリート部材)加工による施工を 要求するなど,階段取付工事の施工方法(甲25の?〜?,甲27の 7枚目,9枚目,甲58,7頁,9頁)についても詳細に指導した。
c なお,Pは,前記ア(ウ)のとおり,本件建築物建築の指導に当たっ ては,作成された図面(意匠図,設備図,構造図)も見た上で沢田工 務店に対する指導を行っており,少なくとも,耐震壁の評価の問題点, 及び,本件建築物が完全なピロティ階を有する建築物であり,ピロテ ィ型式の建築物については指導事項が厳格化されたということは認識 していた(P50頁,51頁,55頁,56頁)。
d 補足説明 Pは,坪当たり40万円という数字は丁が自主的に出した旨証言す るが(P53頁),前記赤マジックによる強調(甲25の?)に加え, 本件建築物建築に当たって,再度坪当たり40万円とすることを赤マ ジックで強調していること(甲27の?,甲58,7頁)などからす ると,坪当たり40万円とすることは,Pの強固な意思の表れと見る のが自然であって,丁の任意で自発的な発言によるものというには疑 問が残り,Pの上記証言は信用することができない。
キ計画設計概要書と本件建築確認申請書添付書類間の構造の相違 前記オ(イ)のとおり,被告Aは,Fに対し,平成設計が作成した計画設 計概要書(甲29)等を用いてビジネスホテルの事業計画を説明している が,上記文書に添付されている図面(6枚目の断面図等)によれば,建築 するビジネスホテルの構造はおおむね構造体?であることがうかがわれる。
しかし,本件建築確認申請までの間に構造体の変更がなされ,本件建築 確認申請書に添付された構造図によれば,前記エ(イ)bのとおり,本件梁 型がなく,本件建築物の構造は構造体?となっている。
ク本件建築物以外のホテルに関する被告総研の指導等 (ア) サンホテル豊川 被告総研の建設業経営指導部所属コンサルタントである辛は,SG会 報(平成17年5月3日付け)の中で,システム型枠を使用しコストダ ウンを目指した設計としてビジネスホテル「サンホテル豊川」を紹介し ており,同ホテルについては,「システム型枠を効率よく使え,生産性 が上がるよう,梁型のない設計を指示」したとし,その構造体は,行政 の考え方や構造設計者の口説き方,考え方にもよるが,おおよそ全国で 適用できる構造体となっていると報告している(甲31の2)。
そして,被告Aは,上記ホテルにつき梁型のない設計を指示したこと についての報告は受けた上で(被告A50頁),自身もSG会報におい て,「構造設計・設計屋さんの考え方で大へんな差がある現実の話」と して,上記ホテルに言及しており,同ホテル(Sホテル)と「Pホテ ル」を比較すると,「鉄筋が大幅に違っているのである。
これは構造計 算の問題であろうと云っていた。
」,「構造計算屋さんを変えるだけで 2.6%」の原価の違いが生じるとして報告している(甲31の1,被 告A48頁)。
このように,被告Aは,「サンホテル豊川」がその構造設計において 構造体?を採用し,また,構造計算を行う建築士が他のホテルの建築士 とは別人であることを認識していた。
(イ) センターホテル豊田 a 認定事実 Pは,平成17年9月7日付けで,平成設計(社長はU)あてに, ビジネスホテル「センターホテル豊田」に関し,経済設計の観点から, 鉄筋量が多いことを採り上げて,「多くても75〜80?/?で納め てほしい」と削減を求める内容のメモ(甲32)を作成している(O 17頁)。
b 補足説明 Pは,前記メモは建築確認を提出後ないしは直前に作成されたもの であって,その時点で構造設計のやり直しを指示しても意味はなく, 今後の構造設計のための参考とする趣旨にすぎないと証言するが(P 14頁),上記時点は,実際には工事原価の打合せがされるなど,実 行予算の確定前であるとされ(甲36,17頁の3段目,4段目), 時期的に見て,やり直しの指示が反映されないことが明らかな時点で あったとはいえず,前記のとおり,Pにおいて経済設計の観点から建 築費の予算について強い関心を持っていたことがうかがわれることな どからすると,Pの上記証言は到底信用することができない。
(ウ) 三田マンション Pは,平成設計が構造設計のみを請け負い,B建築士の設計事務所に 下請けさせた東京都港区三田のマンション(以下「三田マンション」と いう。
)の案件につき,B建築士の同席のもと,平成設計を「指導先」 として,「RC壁式ラーメンにて構造設計を進める指導」を行っている。
そして,このことは被告Aに対して報告された上,その指導を受け進め られていた(甲30)。
(エ) エクセルイン渋川 a 認定事実 被告総研の辛は,ビジネスホテル「エクセルイン渋川」の担当であ ったが,設計時点で構造躯体を検討し,構造体?を採用することによ り,ワンフロア4日の工程で施工した旨SG会報(平成16年1月2 4日付け)に掲載した(甲47)。
このように,上記ホテルにおいて 構造体?を採用し,建築費の削減と工期の短縮を実現したという事実 は被告Aにも報告された。
b 補足説明 被告Aは,「エクセルイン渋川」の構造の件について知らなかった と供述するが,前記のとおり被告総研の業務を統括する立場にあり, 被告Aにとってビジネスホテルの構造として構造体?を採用できるか 否かは重要な関心事であるはずであって,前記(ア)のとおり,「サン ホテル豊川」について構造体?を採用したことについての報告も受け ていることからすると,同供述は信用することができない。
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